介護施設の機械浴で必要なレジオネラ対策|事例から見る衛生管理のポイント

query_builder 2026/10/26
レジオネラ対策
介護施設の機械浴 レジオネラ対策

介護施設では、一般浴だけでなく、利用者の身体状況に応じて機械浴(ストレッチャー浴など)が使われています。


機械浴には、循環・ろ過の仕組みや配管を備える機種があり、設備の構造や使用方法に応じた衛生管理が必要になります。


この記事では、レジオネラ対策全般を網羅的に解説するのではなく、「介護施設の機械浴」に絞り、実際にあった事例をもとに、現場で確認すべきポイントを解説します。


レジオネラ対策の基本的な知識については、こちらで詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

介護施設の機械浴で求められるレジオネラ対策と衛生管理のポイント

介護施設の機械浴で注意したいポイント

機械浴には、機種によって次のような構造上の特徴があります。


・お湯を一時的にためておく「補助水槽」を備える機種がある

・「カートリッジ式ろ過器」など、汚れがたまりやすい部品を使う機種がある

・設備の構造によっては、配管が長く複雑で、お湯が内部にとどまりやすい


こうした設備では、配管内部の「ぬめり(バイオフィルム)」が発生・蓄積しやすくなる場合があります。


配管の壁には、皮脂や湯ドロなどの汚れの中で微生物が増殖し、「バイオフィルム(生物膜)」という粘着性の膜が作られることがあります。


これは、お風呂の「ぬめり」のことです。


バイオフィルムの内部にレジオネラ菌がいると、塩素に対する抵抗性が高まり、塩素消毒だけでは除去できないことがあるとされています。



こうした設備を備える機種では、補助水槽・カートリッジ式ろ過器・配管内部の3か所を確認したいところです。お湯が長くとどまる場所では、ぬめりが発生しやすくなることがあります。

介護施設で確認したい日常管理

国の管理要領や自治体の条例では、レジオネラ属菌は「検出されないこと(100mL当たり10CFU未満)」が基準とされています。この水質基準を維持するためには、日々の清掃と消毒のルールを徹底する必要があります。


厚生労働省の要領等に基づく基本的な管理の目安は、以下の通りです(自治体の条例によって上乗せがある場合があります)。


・浴槽:お湯を完全に換水して清掃する(原則毎日。これが難しい場合でも週1回以上)

・遊離残留塩素濃度:測定して記録する(0.4mg/L程度を目安に、最大1.0mg/Lを超えないよう努める。頻繁に測定)

・集毛器:取り外して内部のごみを取り除き、洗浄・消毒する(毎日)

・ろ過器:逆洗浄が可能な構造のものは逆洗浄を行い、内部の汚れを排出するとともに、生物膜を除去・消毒する(週1回以上)。カートリッジ式など構造が異なる場合の具体的な方法は、メーカーの案内を確認する

・循環配管:生物膜(ぬめり)の除去・消毒を行う(週1回以上)。年1回程度は配管内部の生物膜の状況を点検し、生物膜があれば除去する

・補助水槽(備えている場合):内部に汚れやぬめりがないか確認し、必要に応じて洗浄・消毒する


水質検査の結果や塩素濃度の測定記録は、3年間保管することとされています。


※ここで紹介した管理要領は公衆浴場等を対象としたものです。介護施設の入浴設備がどこまで対象になるかは、施設の形態や自治体の条例によって異なります。自施設が対象になるかどうかは、所轄の保健所にご確認ください。

なぜ機械浴では見落としが起こるのか

見落としが起こりやすい理由として、次のような点が考えられます。


・補助水槽やカートリッジ式ろ過器を備える機種では、通常の浴槽清掃の手順に含まれていない場合がある

・利用日以外にお湯が配管内に残ったままになると、ぬめりが発生しやすくなる場合がある

・塩素を入れるだけでは、生物膜の内部の菌に十分に作用しない場合がある


そのため、塩素による消毒だけでなく、生物膜の除去と消毒が重要です。


方法は、設備の材質や腐食の状況、生物膜の状態に応じて選びます。

実際に確認された機械浴の事例

ある介護施設の機械浴(ストレッチャー浴)で、次のようなことがありました。


【問題】利用日以外の日に、お湯が配管内にとどまったままになっていました。

【確認されたこと】配管内にぬめりが発生し、水質検査でレジオネラ菌が陽性となりました。

【対応】専門業者による配管洗浄を行うとともに、毎日の清掃ルールを厳格化しました。

【結果】再検査でレジオネラ菌は不検出へと復旧しました。


一般に、高齢者や感染防御機能が低下している方は、感染しやすいとされています。そのため、入浴設備の衛生管理には注意が必要です。


※本事例は匿名化した実際の施工事例に基づくものです。発生原因を断定するものではなく、確認できた事実の範囲で紹介しています。

配管や設備内部の汚れが疑われる場合

日常の清掃だけでは、配管内部や補助水槽の奥にたまったぬめりまで取り除くことが難しい場合があります。


・清掃を続けていても、臭いやぬめりが解消しない

・長期間、専門業者による配管内部の点検を行っていない


このような場合は、専門業者による配管内部の確認・洗浄を検討するタイミングといえます。


通常時に衛生状態が気になる場合は、まず設備の構造や管理状況を確認することから始める方法があります。


ただし、次のような場合は、通常時と同じ扱いにはなりません。


・利用者にレジオネラ症またはその疑いのある方が出た場合:直ちに保健所へ通報し、指示に従ってください。浴槽・ろ過器などの現状を保ち、浴槽の使用を中止し、自己判断で消毒剤を投入しないでください。

・患者・疑い患者の発生が確認されず、水質検査で基準超過のみが判明した場合:速やかに管轄の保健所へ相談してください。


必要な対応の頻度や内容は、設備の構造・使用状況・自治体のルールによって異なります。


配管洗浄・レジオネラ対策の詳しい内容については、こちらをご覧ください。

記事のまとめ

介護施設の機械浴では、一般的な浴槽管理だけでなく、使用している設備(補助水槽や配管など)の構造と運用に合わせた衛生管理が重要です。



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