浴槽の点検表には何を記録する?毎日・毎週・毎月・毎年の点検項目と運用のコツ

query_builder 2026/09/23
レジオネラ対策
浴槽管理基準の日常点検チェック項目

浴槽の点検表は、「毎日・毎週・毎月・半年/毎年」の周期に分けて項目を整理すると、作りやすく、確認もしやすくなります。

残留塩素のように数値で管理する項目は、「確認済み」のチェックだけでなく、実測値も記録しておくと、後から状態を確認しやすくなります。

あわせて実施者、異常の有無、対応内容も残しておくと、担当者が変わったときにも引き継ぎやすくなります。

なお、自治体が点検表の様式や運用を示している場合は、その様式・運用を確認してください。

本記事では、厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領」(令和8年1月20日時点)と「入浴施設の衛生管理の手引き」に示されている内容と、記録を運用しやすくするための当社の整理・提案を、分けて解説します。

同要領は公衆浴場を対象としたもので、旅館業向けの要領にも同様の周期の記載があります。

施設の種類や所在地によって適用される条例・基準・保健所の運用が異なる場合があるため、具体的な運用は所管の自治体・保健所にご確認ください。

介護施設や機械浴に固有の管理項目は、介護施設のレジオネラ検査頻度・日常点検について詳しく見るをご覧ください。

浴槽の点検表を作るための点検項目と記録・運用のポイント

点検・清掃・消毒・測定・水質検査・配管洗浄は別の作業

点検表を作る前に、「点検」「清掃」「消毒」「測定」「水質検査」「配管洗浄」を、別の作業として整理しておきます。

同じ衛生管理でも、作業の内容と、記録として残すものが異なるためです。

作業意味例点検表での扱い
点検設備や水の状態を確認する送液ポンプの作動確認、シャワーヘッド・ホースの点検確認結果と異常の有無を記録する
清掃汚れやぬめりを取り除く浴槽の清掃、集毛器の清掃実施日と実施者を記録する
消毒消毒剤などで菌を減らす処理集毛器の消毒、排水設備の消毒、ろ過器・循環配管の生物膜の除去・消毒実施日・実施内容・実施者を記録する
測定数値を測る遊離残留塩素濃度の測定実測値と測定時刻を記録する
水質検査検査機関に依頼して行う検査レジオネラ属菌検査結果書類として別に保管する(基準・頻度は下記の関連記事)
配管洗浄配管内部の生物膜などを、専用の方法で洗浄する作業専門業者による循環配管の洗浄日常点検とは別に、実施した場合に記録する
点検表に記録するものと、別に保管するもの

日々の点検・清掃・消毒・測定は、点検表(記録簿)に残します。

水質検査の結果は、検査機関から届く結果書類として別に保管すると整理しやすくなります(当社の整理)。

要領では、水質検査の結果は検査の日から3年間保管することとされています。

水質基準や検査頻度の詳しい内容は、レジオネラ菌の基準値とは?検査頻度と管理基準で解説しています。

浴槽の点検項目を周期別に整理

次の表は、要領に示されている清掃・消毒・点検などの周期を、点検表にしやすいよう周期別に整理したものです。

「公的資料で示されている内容」の列は要領などの記載に基づき、「記録する内容の例」の列は当社の提案です。

厚生労働省が、この記録の書き方を指定しているわけではありません。

表は、要領に示された項目のうち、点検表にしやすい主なものです。

全項目ではありません。

設備の有無や運用に応じて、項目を追加・削除してください。

毎日確認する項目
項目種別公的資料で示されている内容記録する内容の例
浴槽の換水・清掃清掃毎日完全に換水して浴槽を清掃する。これにより難い場合でも、1週間に1回以上は完全に換水して浴槽を清掃する。実施日、実施者、換水を行ったか(毎日が困難な場合は週1回以上の実施日)
集毛器清掃・消毒毎日清掃、消毒実施日、実施者
人が直接触れる場所(浴室の床・壁・洗いおけ・腰掛など、脱衣室の直接触れる場所)清掃毎日清掃実施日、実施者、清掃した範囲
給水(湯)栓等点検常に使用できるよう毎日保守点検する。異常の有無
塩素注入設備(塩素系薬剤で消毒している場合)点検送液ポンプが正常に作動し、薬液の注入が行われていることを毎日確認する。薬液タンクの薬剤の量を確認し、補給を怠らない。確認結果、薬液の残量
遊離残留塩素濃度(塩素系薬剤で消毒している場合)測定頻繁に測定して、通常0.4mg/L程度を保ち、最大1mg/Lを超えないよう努める。測定結果は検査の日から3年間保管する。測定日時、実測値、測定者
毎週確認する項目
項目種別公的資料で示されている内容記録する内容の例
ろ過器・循環配管清掃・消毒1週間に1回以上、ろ過器を十分に逆洗浄して汚れを排出するとともに、ろ過器及び循環配管について、適切な方法で生物膜を除去、消毒する。実施日、実施内容、実施者
水位計配管消毒少なくとも週に1回、適切な消毒方法で生物膜を除去する。実施日、実施内容、実施者
シャワー点検(通水)少なくとも週に1回、内部の水が置き換わるように通水する。実施日、実施者
毎月確認する項目
項目種別公的資料で示されている内容記録する内容の例
脱衣室・浴室の人が直接触れる場所消毒毎日清掃するとともに、1か月に1回以上消毒する。実施日、使用した消毒剤、実施者
排水設備(排水溝・排水管・汚水ます・温水器など)清掃・消毒適宜清掃し、防臭に努め、常に流通を良好に保ち、1か月に1回以上消毒する。実施日、実施者
ねずみ・衛生害虫等点検脱衣室・浴室・便所・排水設備は、1か月に1回以上点検し、適切な防除措置を講じる。点検日、結果、防除措置の有無
半年・毎年確認する項目
項目種別公的資料で示されている内容記録する内容の例
シャワーヘッド・ホース点検・洗浄・消毒6か月に1回以上点検し、内部の汚れとスケールを1年に1回以上洗浄、消毒する。点検日、内部の状態、洗浄・消毒の実施日
循環配管内の生物膜の状況点検ろ過器の逆洗浄などの措置に加えて、年に1回程度は循環配管内の生物膜の状況を点検し、生物膜がある場合には、その除去を行う。点検日、生物膜の有無、除去した場合はその内容
給水・給湯設備点検1年に1回以上保守点検し、必要に応じて被覆その他の補修等を行う。点検日、結果
飲用水を供給する受水槽・高置水槽(設置している場合)清掃1年に1回以上清掃する。清掃日、実施者

循環配管内の生物膜については、要領が求めているのは「状況の点検」と「生物膜がある場合の除去」です。

「年1回の配管洗浄」を一律に定めるものではありません。

配管洗浄の考え方は、配管洗浄はどれくらい必要?施設別の頻度目安と失敗しない判断基準で解説しています。

貯湯槽を設置している場合の温度管理

貯湯槽(お湯をためておく設備)を設置している場合、要領では、貯湯槽内の湯を60℃以上に保ち、最大使用時にも55℃以上とすることが示されています。

これにより難い場合は、消毒装置を設置し、生物膜の状況を監視して、必要に応じて清掃及び消毒を行うこととされています。

貯湯槽の温度についての記載であり、すべての浴槽の湯を60℃以上にするという意味ではありません。

また、設備の破損等の確認と、温度計の性能の確認も行うこととされています。

「要領の記載」と「運用上の工夫」を分けて考える

上の表の「公的資料で示されている内容」と、「記録する内容の例」は、性質が異なります。

周期や対象設備、塩素の目標値、測定結果の3年間の保管などは、要領に示されている内容です。

日付・時刻・実施者・実測値などの記入欄の設け方は、運用しやすくするための当社の提案です。

要領には、点検表の具体的な様式や記入項目は示されていません。

項目が多い場合は、毎日の点検表と、週・月・年の点検表を分けると、記入や確認がしやすくなります(当社の提案)。

点検表には何を記録する?

点検表の基本項目(当社の運用例)

点検表には、次のような欄を設けておくと、後から実施の状況を確認しやすくなります。

これは厚生労働省が指定する記録様式ではなく、運用しやすくするための当社の例です。

・日付

・時刻

・実施者

・実測値(測定する項目)

・実施内容

・異常の有無

・異常時の対応内容

・確認者(施設の運用に応じて)

記録の粒度の例

残留塩素など数値を管理する項目では、「確認済み」のチェックだけでなく、実測値も記録しておくと、後から状態を確認しやすくなります。

記録の例後から分かること
情報が少ない例:「塩素確認 ✓」確認したことは分かるが、実測値・時刻・担当者が分からず、状態を確認しにくい
状況を確認しやすい例:「10:00 遊離残留塩素0.4mg/L 担当:○○」測定時刻・実測値・担当者が分かる
異常があった場合の記録例:「10:00 0.2mg/Lを確認 → 設備・薬液を確認 → 再測定 ○○mg/L 担当:○○」何が起きたか、何を確認したか、再確認の結果が分かる

これらは記録の粒度を示す例であり、異常時にどう対応するかを定めた手順ではありません。

実際の対応は、施設で定めた手順と、所管の保健所の指示に従ってください。

記録の保管

要領で3年間の保管が示されているのは、遊離残留塩素の測定結果と、水質検査の結果などです。

そのほかの日常点検の記録の保管期間や様式は、自治体・保健所によって異なる場合があります。

保管期間や記録の方法は、所管の自治体・保健所にご確認ください。

水質検査の基準や頻度の詳しい内容は、レジオネラ菌の基準値とは?検査頻度と管理基準で解説しています。

異常があったときは「結果」だけでなく対応も記録する

レジオネラ対応 結果だけでなく行動も記録する

測定値が設定した範囲を外れたときなど、異常があった場合は、「異常があった」という結果だけでなく、その後の対応まで記録しておきます。

「入浴施設の衛生管理の手引き」では、設定値を外れた場合の対応をあらかじめ決めておくことと、外れた状態や原因、対応の内容を記録することが示されています。

点検表には、次の内容を残しておくと、後から経緯を確認しやすくなります(当社の整理)。

・何が起きたか

・いつ確認したか

・誰が確認したか

・どのような対応をしたか

・再確認の結果

具体的な対応の手順は、施設で定めた手順と、保健所等の指示に従ってください。

検査で菌が検出された場合の対応は、レジオネラ菌検出後に取るべき5つのステップで解説しています。

担当者が変わっても続く点検体制を作る

点検表は、担当者が変わっても同じように運用できて、はじめて継続的な管理に役立ちます。

公的資料に記載があること

・営業者は、要領に基づき、自主管理マニュアル及びその点検表を作成し、従業者に周知徹底すること(要領)

・自主管理を効果的に行うため、営業者自らが責任者となるか、従業者のうちから責任者を定めること(要領)

・責任者は、責任をもって衛生等の管理に努めること(要領)

・衛生管理の方法を決め、手順書・作業書及び自主管理点検表等を作成すること(手引き)

・測定結果の報告の仕方(測定担当者から担当責任者へ毎日報告するなど)を決めておくこと(手引き)

・設定値を外れた場合の対応をあらかじめ決めておき、記録すること(手引き)

・手順書どおりに行われているかを、日誌などの記録から確認し、必要に応じて手順書や作業を見直すこと(手引き)

当社が運用上おすすめする工夫

・点検項目を固定し、毎回同じ点検表で記録する

・記録場所を1か所に統一する

・実施者の氏名を記入する欄を設ける

・異常時の連絡先と、連絡のルールを点検表に書いておく

・担当者が変わるときは、点検表と手順書を見ながら、一緒に1周して確認する

・設備を変更したときや、定期的に、点検項目を見直す

これらの工夫は、運用しやすくするための当社の提案であり、厚生労働省が求めているものではありません。

自治体の点検表がある場合はどう使う?

自治体が、点検表や自主管理の様式を公開している場合があります。

様式や項目は自治体ごとに異なり、全国共通の公式様式ではありません。

施設の所在地の自治体・保健所が様式や運用を示している場合は、その様式・運用を確認してください。

例として、長野市は「公衆浴場 自主管理点検表」を公開しています。

項目と頻度を一覧にして、月ごとのチェック欄で管理する形式です。

長野市「公衆浴場 自主管理点検表」(PDF)


また、東京都南多摩保健所の「社会福祉施設等におけるレジオネラ症防止対策」のページには、循環型浴槽等の自主管理点検票の様式例が掲載されています。

適否(○・×)を月ごとに記入し、担当者名や備考を書く形式です。

東京都南多摩保健所「社会福祉施設等におけるレジオネラ症防止対策」


公開されている様式は、更新される場合があります。

使用する際は、各自治体のページで最新の様式を確認してください。

上の2例は、適否やチェックを記入する形式です。

残留塩素など数値で管理する項目は、備考欄や別の測定記録に実測値を残しておくと、後から状態を確認しやすくなります(当社の提案)。

自治体の様式に項目を追加したい場合は、所管の保健所にご相談ください。

点検表で見落としやすい4つのポイント

レジオネラ日常点検 見落としポイント

1. 塩素注入装置が動いているだけで安心する

塩素注入装置が動いていても、薬液が実際に注入されているかどうかは、別に確認が必要です。

要領では、送液ポンプが正常に作動し、薬液の注入が行われていることを毎日確認することが示されています。

あわせて、遊離残留塩素の実測値を記録しておくと、塩素が保たれているかどうかを後から確認しやすくなります。

2. シャワーヘッド・ホース

シャワーヘッドとホースは、内部が見えにくい設備です。

要領では、6か月に1回以上点検し、内部の汚れとスケールを1年に1回以上洗浄・消毒することが示されています。

点検表に周期を入れておくと、実施を忘れにくくなります。

3. 「実施済み」だけで測定値を残さない

数値を管理する項目は、「実施済み」のチェックだけでなく、実測値も記録しておくと、後から状態を確認しやすくなります。

4. 特定のスタッフしか運用方法を知らない

点検の手順や記録の方法が特定のスタッフの経験に頼っていると、担当者が変わったときに、点検が続かなくなるおそれがあります。

手順書と点検表を用意して、担当者が変わっても同じ方法で記録できるようにしておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1:点検表は、厚生労働省の決まった様式がありますか?

厚生労働省の要領では、営業者が自主管理マニュアル及びその点検表を作成することが示されています。

この記事の表や記録例は、当社が整理した例で、公式の様式ではありません。

自治体が様式を公開している場合があるため、所管の自治体・保健所にご確認ください。

Q2:点検表は、毎日記録する必要がありますか?

要領では、項目ごとに、毎日・週1回以上・月1回以上・6か月に1回以上・年1回以上などの周期が示されています。

点検表には、その周期に合わせて、項目ごとに記録します。

設備の有無や運用によって対象の項目は異なるため、所管の自治体・保健所にご確認ください。

Q3:残留塩素は、数値まで記録した方がよいですか?

要領では、塩素系薬剤で消毒する場合、遊離残留塩素濃度を頻繁に測定して、通常0.4mg/L程度を保ち、最大1mg/Lを超えないよう努めることとされています。

測定結果は検査の日から3年間保管することとされています。

数値を管理する項目は、実測値まで記録しておくと、後から状態を確認しやすくなります。

Q4:点検記録は、何年間保管しますか?

要領で3年間の保管が示されているのは、遊離残留塩素の測定結果や水質検査の結果などです。

そのほかの日常点検の記録の保管期間は、所管の自治体・保健所にご確認ください。

検査結果の詳しい内容は、レジオネラ菌の基準値とは?検査頻度と管理基準で解説しています。

Q5:配管洗浄は、年1回必要ですか?

要領では、循環配管内の生物膜の状況を年に1回程度点検し、生物膜がある場合には、その除去を行うこととされています。

年1回の配管洗浄を一律に定めるものではありません。

配管洗浄の考え方は、配管洗浄はどれくらい必要?施設別の頻度目安と失敗しない判断基準で解説しています。

Q6:介護施設の機械浴は、何を確認すればよいですか?

機械浴などの特殊浴槽には、介護施設ならではの管理項目があります。

詳しくは、介護施設のレジオネラ検査頻度・日常点検について詳しく見るをご覧ください。

点検表は「周期」と「記録の残し方」で運用する

浴槽の点検表は、「毎日・毎週・毎月・半年/毎年」の周期で項目を整理し、数値で管理する項目は実測値まで記録しておくと、運用しやすくなります。

実施者・異常の有無・対応内容も残しておくと、担当者が変わっても引き継ぎやすくなります。

要領に示された周期と、当社の提案する記録の工夫を分けて考え、自治体の様式や運用があれば、その内容を優先して確認してください。

点検表では分かりにくい配管内部の状態が心配な場合は

点検表の記録に問題がなくても、循環配管内部の生物膜の状況は、日常点検だけでは把握しにくい場合があります。

配管内部の状態が心配な場合は、専門業者への相談も選択肢の一つです。

当社(いえピカ)では、入浴施設・介護施設向けにレジオネラ対策・配管洗浄を行っています。

・麻布大学 名誉教授 古畑勝則博士(獣医学博士)監修の薬剤を使用

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参考・出典

・厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領等について(全文)(令和8年1月20日時点)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001401962.pdf (掲載ページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124204.html)

・厚生労働省「入浴施設の衛生管理の手引き」(令和4年5月13日) https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001401967.pdf

・長野市「公衆浴場 自主管理点検表」 https://www.city.nagano.nagano.jp/documents/2651/23952.pdf

・東京都南多摩保健所「社会福祉施設等におけるレジオネラ症防止対策」 https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/jigyosyo/hokenjyo/minamitama/gyoumu/kankyou/shakaifukushishisetu

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いえピカ

住所:群馬県高崎市山名町1631

電話番号:080-7154-0406


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