介護施設のレジオネラ検査は年何回?厚労省要領で見る検査頻度・塩素管理と点検表

query_builder 2026/09/21
レジオネラ対策
介護施設のレジオネラ検査は年何回?厚労省要領で見る検査頻度・塩素管理と点検表

介護施設のレジオネラ検査の頻度は、厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領」では、浴槽水について、ろ過器を使用していない場合や毎日完全に換水している場合は年1回以上、連日使用している場合は年2回以上(塩素消毒でない場合は年4回以上)とされています。


ただし、同要領は公衆浴場を対象としたものです。介護施設の浴室への適用や具体的な運用は、所管の自治体・保健所にご確認ください。


本記事では、検査頻度に加え、塩素濃度・換水、機械浴の注意点、日常点検表と記録の保管方法を、介護施設の管理者向けに整理します。

介護施設のレジオネラ検査

なぜ介護施設でレジオネラ対策が不可欠なのか

レジオネラ症は、レジオネラ属菌を含む細かい水しぶき(エアロゾル)を吸い込むことで起きる感染症です。


健康な成人が吸い込んでも発症しない場合がありますが、高齢者は免疫力が低下しているため、肺炎を起こして命に関わることがあります。


特に介護施設では、利用者の健康と生命を守るために徹底した対策が求められます。


厚生労働省の「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」では、高齢者や免疫機能の低下を来す疾患にかかっている者が多い医療施設・社会福祉施設等においては、入浴設備などの衛生上の措置を徹底して講ずることが必要とされています。


また、「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」でも、高齢者はレジオネラ症にかかりやすい傾向があるとされています。


過去には、平成11年(1999年)に東京都内の特別養護老人ホームで、使用されていた循環式浴槽を感染源とするレジオネラ症患者が発生し、うち1名がレジオネラ肺炎で亡くなったことが、当時の厚生省から報告されています(出典:厚生省「レジオネラ症防止対策について」平成11年11月26日報道発表、参考・出典を参照)。


設備が新しく清潔に見える施設であっても、配管内部で菌が増殖していることもあります。目に見える綺麗さだけで安全を判断してはいけません。

放置するとどうなる?保健所対応と利用休止のリスク

レジオネラ属菌が検出された場合は、保健所の指導のもと、浴槽の使用停止や改善、再検査による確認などの対応が必要になることがあります。


さらに、利用者が発症して集団感染に至った場合、自治体による公表やニュース報道が行われることがあります。これにより、施設の社会的信用が損なわれ、新規入所者の減少や経営悪化につながるおそれがあります。


レジオネラ菌が検出された場合の具体的な対応手順は、レジオネラ菌検出後に取るべき5つのステップで詳しく解説しています。

介護施設のレジオネラ検査は年何回?厚労省要領の検査頻度

浴槽水の水質検査(レジオネラ属菌検査)の頻度

厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領」では、浴槽水の水質検査(レジオネラ属菌検査)の頻度が次のように定められています。


・ろ過器を使用していない浴槽水及び毎日完全に換水している浴槽水:1年に1回以上

・連日使用している浴槽水:1年に2回以上(ただし、浴槽水の消毒が塩素消毒でない場合には、1年に4回以上)


水質検査の結果は、検査の日から3年間保管することとされています。また、検査の依頼にあたっては、精度管理を行っている検査機関に依頼することが望ましいとされています。


レジオネラ属菌の水質基準は「検出されないこと(10cfu/100mL未満)」です(基準値の考え方はレジオネラ菌の基準値とは?検査頻度と管理基準も参考にしてください)。


なお、原湯、原水、上がり用湯及び上がり用水についても、同要領で1年に1回以上の水質検査を行い、その結果を検査の日から3年間保管することが示されています。


これらは公衆浴場を対象とした国の要領に示された内容です。


介護施設の浴室への適用や具体的な運用は、自治体の条例や保健所の指導により異なる場合があるため、所管の自治体・保健所にご確認ください。

塩素濃度と換水の管理

レジオネラ対策 水質維持

日々の水質維持において、基本となるのが遊離残留塩素濃度の測定と完全換水です。


遊離残留塩素濃度:浴槽水を塩素系薬剤で消毒する場合は、遊離残留塩素濃度を頻繁に測定して、通常0.4mg/L程度を保ち、かつ、最大1mg/Lを超えないよう努めます。

測定のタイミング:入浴前、入浴中、入浴終了後など、施設の運用に合わせて測定のタイミングを決め、頻繁に測定します。

換水基準:毎日完全に換水して浴槽を清掃することが原則です。これにより難い場合であっても、1週間に1回以上は完全に換水して浴槽を清掃することとされています。


遊離残留塩素濃度は定期的に測定・記録し、その測定結果を3年間保管します。

現場で見落としやすい機械浴の落とし穴と清掃手順

レジオネラ 介護施設 注意が必要な設備

介護施設で、レジオネラ対策上とくに注意が必要な設備の一つが特殊浴槽(機械浴)です。機械浴は配管が細く入り組んでおり、内部に汚れが溜まりやすい構造をしている場合があります。


現場で起こりやすい失敗として、「一般浴槽と同じ感覚で表面だけ洗っていた」「使用後に補助水槽の水を抜き忘れていた」といったケースが挙げられます。


機械浴は、設備の構造に応じて、使用ごとに湯を排水し、カートリッジなどを取り外して洗浄・乾燥させることが望まれます。


・湯を排水し、残り湯の使い回しを避ける

・カートリッジ式ろ過器を取り外して分解清掃し、乾燥させる

・補助水槽の水を抜き、乾燥させる

・接続ホースやノズルの内側を洗浄する

配管洗浄が重要な理由と生物膜(バイオフィルム)の除去

「毎日塩素を入れているから安心」というわけではありません。


厚生労働省の技術上の指針でも、レジオネラ属菌は生物膜に生息する微生物等の中で繁殖し、消毒剤から保護されているため、浴槽の清掃や浴槽水の消毒では十分ではなく、ろ過器や循環配管内に付着する生物膜の生成を抑制し、その除去を行うことが必要とされています。


「公衆浴場における衛生等管理要領」では、ろ過器を1週間に1回以上十分に逆洗浄して汚れを排出するとともに、ろ過器及び循環配管について適切な方法で生物膜を除去・消毒することが示されています。


あわせて、年に1回程度は循環配管内の生物膜の状況を点検し、生物膜がある場合にはその除去を行うこととされています。


バイオフィルムが発生する仕組みは、バイオフィルムとは?レジオネラ菌が増える本当の原因と対策で詳しく解説しています。


施設ごとの配管洗浄の考え方は、配管洗浄はどれくらい必要?施設別の頻度目安と失敗しない判断基準をご参照ください。

保健所対応に備える!日常点検表と保管すべき書類

「公衆浴場における衛生等管理要領」では、営業者は要領に基づき、自主管理マニュアル及びその点検表を作成し、従業者に周知徹底することとされています。


保健所の立入検査で確認される内容には、設備の状態だけでなく日々の記録も含まれることがあります。


記録簿が存在しない場合、口頭で「毎日管理している」と伝えても、管理状況を確認できないと判断される可能性があります。


以下の点検項目を毎日チェックし、専用の記録簿に記載してください。


点検項目実施タイミング・頻度チェック内容
遊離残留塩素濃度入浴前・入浴中・入浴終了後0.4mg/L程度が維持されているか測定・記録
浴槽水の状態入浴前・入浴終了後濁り、異臭、泡立ちがないか目視確認
集毛器(ヘアキャッチャー)毎日(入浴終了後)毛髪やゴミを除去し、清掃・消毒
ろ過装置・循環配管週1回以上ろ過器を逆洗浄して汚れを排出し、ろ過器・循環配管の生物膜を適切な方法で除去・消毒
機械浴の分解・乾燥使用ごと(構造に応じて)構造に応じてカートリッジ等を外して洗浄し、乾燥


※この点検項目は、厚生労働省の要領等を参考に当社が例として整理したものです。厚生労働省が定めた公式の点検表ではありません。実際の点検項目や運用方法については、施設の設備や自治体・保健所の指導内容に応じて確認してください。


浴槽の点検表の作り方や、周期別の点検項目、記録の運用方法は、浴槽の点検表には何を記録する?周期別の点検項目と記録の運用方法で詳しく解説しています。

また、施設内には「設備の図面」「日常点検の記録」「水質検査結果書」「遊離残留塩素濃度の測定記録」を常に整理して保管しておきましょう。


水質検査結果と遊離残留塩素濃度の測定結果は、3年間保管することが示されています。

よくある質問(FAQ)

Q1:介護施設のレジオネラ検査は年何回ですか?

A1:厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領」では、浴槽水のレジオネラ属菌検査は、ろ過器を使用していない浴槽水と毎日完全に換水している浴槽水が1年に1回以上、連日使用している浴槽水が1年に2回以上(消毒が塩素消毒でない場合は1年に4回以上)とされています。同要領は公衆浴場を対象としたものです。介護施設での運用は、所管の自治体・保健所にご確認ください。


Q2:水質検査の結果は何年間保管しますか?

A2:検査の日から3年間です。遊離残留塩素濃度の測定結果についても、3年間保管することが示されています。


Q3:日常点検表に決まった様式はありますか?

A3:厚生労働省の要領では、自主管理マニュアル及びその点検表の作成が示されています。本記事に掲載している点検表は、当社が要領等を参考に整理した例で、公式の様式ではありません。実際の様式や項目は、施設の設備や自治体・保健所の指導内容に応じて確認してください。


Q4:水質検査で陽性が出た場合、まず何をすべきですか?

A4:直ちに浴槽の使用を停止し、管轄の保健所へ連絡して指示を仰いでください。自己判断で大量の薬剤を投入してはいけません。詳しい対応手順はレジオネラ菌検出後に取るべき5つのステップをご覧ください。


Q5:検査結果が出るまでどのくらい日数がかかりますか?

A5:検査結果が出るまでの日数は、検査機関や検査方法によって異なります。検査を依頼する際は、精度管理を行っている検査機関に依頼することが望ましいとされています。


Q6:レジオネラ菌は目に見えますか?

A6:目には見えません。無色透明で透き通った綺麗なお湯であっても、見た目だけでレジオネラ属菌の有無は判断できないため、水質検査で確認します。


Q7:入浴剤を使用しても塩素濃度は正しく測れますか?

A7:入浴剤の成分によっては塩素と反応して効果を弱めたり、測定器が正しく反応しなかったりする場合があります。使用時は注意が必要です。


Q8:高濃度の塩素だけで配管のぬめりは落とせますか?

A8:塩素消毒だけでは十分ではありません。ぬめり(生物膜)の中の菌は消毒剤から保護されているとされ、ろ過器や循環配管の生物膜の除去が必要とされています。


Q9:点検記録簿はパソコンでのデータ保存でもよいですか?

A9:保存形式の扱いは自治体や保健所によって異なる場合があるため、所管の保健所にご確認ください。データで保存する場合も、立入検査の際にすぐ提示できる状態にしておくと安心です。水質検査結果と遊離残留塩素濃度の測定結果は、3年間保管することが示されています。


Q10:配管洗浄は自分たちで実施できますか?

A10:日常的な清掃や点検は施設で行えます。配管内部の生物膜への対応については、設備の状況に応じて専門業者に相談することも選択肢の一つです。配管洗浄の考え方は、配管洗浄はどれくらい必要?施設別の頻度目安と失敗しない判断基準をご参照ください。


記事のまとめ

介護施設におけるレジオネラ症予防は、日々の塩素濃度管理と記録、そして定期的な水質検査と、ろ過器・循環配管の生物膜の点検・除去が基本です。特に機械浴は配管が入り組みやすく、日常的な分解清掃と乾燥に注意が必要です。


設備任せにせず、日頃から点検表を活用して正しい衛生管理を積み重ねることが、施設利用者の命と施設の信頼を守るための重要な取り組みとなります。



自施設の配管状態が心配な場合は

検査結果や点検記録を見ても自施設だけでは判断が難しい場合や、配管内部の状態が心配な場合は、専門業者への相談も選択肢の一つです。


当社(いえピカ)では、入浴施設・介護施設向けにレジオネラ対策・配管洗浄を行っています。


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参考・出典

・厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領等について(全文)(令和8年1月20日時点)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001401962.pdf (掲載ページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124204.html

・厚生労働省「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル(全文)(令和元年12月17日時点)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001401965.pdf

・厚生労働省「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」(平成15年厚生労働省告示第264号、平成30年一部改正) https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001401928.pdf

・厚生省(現・厚生労働省)「レジオネラ症防止対策について」(平成11年11月26日報道発表。「建築物等におけるレジオネラ症防止対策について」生衛発第1679号を含む) https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1111/h1126-2_13.html

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いえピカ

住所:群馬県高崎市山名町1631

電話番号:080-7154-0406


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